前世代からの紛争

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 人が亡くなり、その法定相続権が及ぶ血縁者がいる場合には「相続」が発生することとなります。

 物の「相続」は想像に及ぶものだと思いますが、故人の【思い】を「相続」する場合もあります。

 その【思い】が親族や隣地者への憎悪であった場合には、これを「相続」すると後に解決の出口が見えない現実の問題事に発展していくことも珍しいことではことではありません。

 故人が生前中に関係者との間で起こしたトラブルについては、少なからず身内(近親者)にその内容が語られていると思うのですが、その内容は、得てして故人にとって都合の悪い部分が削り取られ、都合よく歪曲された情報が時には愚痴のような型となって伝わっていたりします。この愚痴を呪文のように不定期で聞かされる身内(近親者)は、あたかもその愚痴が事実の全てであると信じてしまうことも無理はありません。

 数年前に土地売買をした際に行った敷地境界確定測量は、まさに上記そのものでした。

 昔(戦後くらい)から隣地同士で境界についての紛争があり、現在の土地所有者はどちらもそのご子息となっていて、紛争の真の原因についてはお互いが関係しておらず、お2人とも相手方に対する憎悪とその紛争に関する都合のいい経緯をを亡親から聞かされてきたというものでした。

 私が介在し始めた当初は、お互いから相手に対する悪口ばかりが出ていました。ただし、自分が直接関係した事実に基づく悪口ではないために出口もなかなか見つからず、それは質の良くない・聞くに堪えない悪口の応酬でした。
 ただ、そんなことを続けるうちに、簡単に言えばその状態に飽きてきていたタイミングだったのでしょう。ある時、私から「次世代にあなたたちのような遺恨を残さないようにするために、あなたたちの代でこの問題を解決しておきましょう。」との言葉で状況が一気に好転していきました。

 それから間もなくして敷地境界が合意決定し、前世代から続いた隣地境界の紛争が終結することなりました。
 この案件は約1.5年で解決に至りました。

 当事者でなく、その理由が明確になっていない紛争の為に売買・賃貸・空き家の取り壊し等ができない不動産は無数に存在します。
 そのほとんどの当事者は調停を申し立てることもなく、その紛争をほったらかしにしている場合がほとんどだと思います。
 その【思い】が代襲されていくともっとややこしい事になりそうなのに・・・。